企業の防災備蓄、何から始めたらいいですか?
- info3175414
- 4月12日
- 読了時間: 8分
更新日:4月17日
丸1日、本気で考えるためのまとまった時間を作れませんか?
災害が起きたとき。
会社にいる全員が、すぐに自宅へ帰れるとは限りません。
道路が寸断され、交通機関が止まり、通信手段もままならないなか、従業員が数日間、会社に留まる可能性は十分にあります。
そんなとき、企業には何が求められるでしょうか?
災害を止めることはできません。
防災は、災害が起きる前の準備です。
起きたとき、被害を可能な限り抑えるための事前準備です。
あの時やっておけばよかった、と思いながら絶望しても後悔しても取り戻せない大切なものを、
そもそも失わずに済むように、真剣に考えて準備をする。
そのためにたった1日、真剣に考える時間を確保することができない、なんてことは、ないと思うのです。
いかがでしょうか。

■ 実例が知りたい方へおすすめの資料 ■
ポイレを目にとめてくださった企業様や自治体様から、
防災備蓄についてご相談をいただく機会がございます。
参考としてご紹介することがあるのですが
【東京都防災ホームページ】にある、
東京都「一斉帰宅抑制推進企業」取組事例集(令和5年度版)
一斉帰宅抑制推進企業 取組事例 (PDF 22.6MB)
↑
こちらの資料が写真付きで様々な企業様の取り組みが紹介されていて、参考になります。
もしよかったら一度ご覧ください!
従業員の命と事業を守る「企業の防災備蓄」
私たちが防災のご相談を受けるなかで、よく話題になるのが「企業の備蓄品」です。
(取り扱っている商品が非常用トイレなので当然といえば当然なのですが)
とはいえ、「企業の防災備蓄」と一口に言っても、
本社など拠点となる事業所の立地条件
常駐している人数や勤務形態
業種や事業内容
など、様々な条件によって、考えるべき「前提」や「根拠」は全く異なります。
帰宅困難者が増えると、何が起こるのか?
大地震などの大規模災害が発生したとき、公的な救助活動のメインは「人命救助」です。
これは、どんな地域であっても共通しています。
そんな中、大勢の人が一斉に帰宅を始めると、都市部では大渋滞が発生し、
一刻を争う救助・救命活動が、スムーズに進まなくなる可能性があります。
このような事態を避けるために、東京都では「一斉帰宅抑制推進企業認定制度」が実施されています。
冒頭でご紹介した資料は、その取り組みを実践している企業の実際の取り組み内容を掲載したものです。
つまり、学校や職場など、安全が確保できる場所に、しばらく留まってもらうことを前提に、企業側も備えておく必要があるということです。

会社に数日間留まるーー「物」だけじゃなく「人の動き」も大事
むやみに移動するな、すぐに帰宅するな
と言われても「一刻も早く家に帰りたい」と思うのが人情ですよね……。
ただでさえ災害時は誰もが混乱します。
そんなとき、会社にとどまってもらうには、冷静に場をまとめてくれるリーダーの存在は欠かせません。
限られた備蓄品を、誰かがきちんと計算しながら配布する必要がありますし、
「家族の分も欲しい」と焦る不安を受け止め、みんなが納得できるような説明も必要です。
その上で、
外出中の社員の安否確認
取引先への連絡
倒れた什器や破損したガラスの対応
余震や火災の備え
など、次々とやるべきことは押し寄せてきます。

そして、そのリーダーの存在も備蓄品も、企業が「揃えて」おかなくてはならない防災です。
さらに、社内で担当者を決めて丸投げすればOKとはいかないことを、どうか理解していただきたいと願います。
何を備えるか
優先順位はどうするか
誰が・何を・どうやって対応するのか
本当に、それが現実にできるのか
全従業員が事前に何も知らされていなければ、何もかもが不安で担当者に質問が殺到しますし、非常時に上司が自社の防災について理解できていなければ、担当者も思うように動けません。
いざというとき、各自が要点を抑えて冷静に行動できる事前準備は、自身の命を守り、迅速な対応が可能になります。
いざというときの自分の役割や行動指針がしっかり分かっていれば、情報収集や家族の安否確認を落ち着いて行うことができますし、必要な物資を確保して自分の身を守るために何をすべきかを考えることができます。
なにより、企業の事業継続と復興に際しては、全従業員の力を合わせることが欠かせません。
企業防災において、社内の協力体制は不可欠です。
備蓄品は「揃っていればいい」わけではない
品物が揃っていても、それを何のためにどう使うか、誰が誰にどう配るか、などの具体的なシミュレーションまでできていなければ、災害時には役に立たないこともあります。
従業員が多い企業では、リーダーが一人では足りないこともありますし、
「リーダーが休みの日はどうするか?」まで想定して、
“その時に言うセリフ” まで想定してシミュレーションしておくと安心です。
備蓄の保管方法にも、事情に合わせて色々な方法があります
企業の防災備蓄品を揃えるとき、大きく2つのパターンがあります。
それぞれにメリットとデメリットがありますので、簡単にご紹介します。
■ 個人パッケージ型
リュックや箱に「1人分」の防災グッズが詰まっている個人パッケージ型の備蓄グッズ
1人分ずつセットにして、各従業員にあらかじめ配布したり、災害時に1セットずつ配布しやすい形です。
メリット
保管スペースの節約
配布の手間が少ない
個々の防災意識を高めやすい
アレルギーや薬など個々で中身のカスタマイズが可能
デメリット
不在の社員の分が使えない可能性
管理が個人任せになりやすい
紛失や破損のリスク
期限切れのチェックや入れ替えが手間
■ 一括備蓄型
防災倉庫などの保管場所に、想定人数分の備蓄品を一括で保管しておく方法です。
メリット
物品の種類が増やせる
賞味期限・在庫管理がしやすい
コストを抑えやすい
物品の追加や入れ替えがしやすい
デメリット
保管スペースの確保が必要
配布に人手がかかる
社員が備蓄の内容を把握しにくい
管理担当者の負担が大きい
混乱する1日分は個々に配布するパッケージ、2日目以降は一括備蓄を使用する。
移動が多い社員にはポーチで最低限の防災用品を配布する。
本社勤務の人数が少ないので、社内では一括備蓄、車には常に3日分の備蓄品を積んでおく。
業種や、従業員の勤務形態によってどういう備えが実用的かを考えてみてください。
現時点で全く備蓄ができておらず、色々と迷ってしまって決められない…
という場合は、とにかく今すぐ【個人パッケージ型】のセットを人数分揃えることをお勧めします。
『そんなまさか…』と思っている明日にでも、大地震が起きないとは誰にも断言できないのですから。
意外と盲点!?
ヘルメット・安全靴・軍手(初動で必要)
充電バッテリーやライト(置き型も手持ち型も)
寒さ・暑さ対策グッズ
非常用トイレ(これが本当に重要です)
トイレゴミの保管場所・臭い対策
私たちは非常用トイレを扱っているので身をもって実感していますが、
凝固剤で固めて可燃処理できるタイプの非常用トイレは、人数と日数をかけ算すると、ものすごい量のゴミが出ます。
シートタイプだとさらにかさばります。
それをどこに保管するのか、どうやって臭いを防ぐのか――
ここまで想像しておいてほしいのです。
量が増えれば、ニオイの心配もさることながら、万が一袋が破損した場合の二次災害の危険も増加します。
実際の運用で慌てないためにも、ゴミ置き場の想定も検討しておいてください。
建物の外にも目を向けて
会社の中だけを想定していては不十分な場合もあります。

周囲で火災が起きていないか
海や川が近くないか、水害の心配は?
建物が密集していて倒壊リスクが高くないか?
地域の避難所まで、どうやって向かう?
近隣に助けが必要な人がいたら?
また、救援に向かう従業員の安全確保も忘れずに想像してください。
安全靴や丈夫な手袋など、状況に合わせた装備が必要かもしれません。
まずは「一緒に考えること」から
私たちが企業の防災についてご相談を受けるとき、
まずは、「社内の担当者の方と一緒に、具体的に想像すること」からはじめます。
実際にその場を歩き、扉を開け、備蓄倉庫を見て、
「もし今ここで地震が起きたら?」と声に出してみる。
そうすると、
意外とやることが多い
思ったより足りてない
これはいらないかも
ここにあると取り出せない
こっちのほうが先じゃない?
誰が指示するの?
なんて言えばみんな動いてくれる?
協力者がいないと難しいよ
これとこれは同時にはできない
こういうのがあるといいかも
など、たくさんの「気づき」が生まれます。
冒頭でご紹介した
東京都「一斉帰宅抑制推進企業」取組事例集(令和5年度版)
一斉帰宅抑制推進企業 取組事例 (PDF 22.6MB)
の資料は、様々な企業様が防災について実際に重視していることが紹介されているので、しつこいようですが参考までに一度開いてみてください。
「うちは地方だから」「建物はしっかりしてるから」
そう思っていても、交通が遮断されれば、帰宅は難しくなります。
暗い道を歩いて帰るのは、特に女性や高齢の従業員にとって大きなリスクですし、
雪・豪雨・猛暑など、地域の特性によって必要な備えは変わります。
災害対策は「起きる前」の準備です。
備蓄品が足りているかだけでなく、
「どう使うか」「誰が動くか」「何を言うか」まで考えることが、企業防災の第一歩です。